「セックスしていないから、不倫じゃないよね」
そんな浅はかな考えが覆される、裁判判決が下されました。
裁判所は「(肉体関係を)認めるに足る証拠はない」としたものの、「相当な男女の関係を超えたものといわざるを得ない」と指摘し、不倫関係を認めた。
裁判所が不倫関係を認めた二人は、どんな関係だったのか?
記事によると、不倫をしたふたりは同じ会社の同僚。
ただし勤務先は別。
お互い遠く離れています。
大阪のオフィスに勤める既婚男性が、出張で東京に行った際、同じ会社の東京に勤務する女性と交際していたそうです。
具体的には、
花火大会に出掛けたり、
体育館でバドミントンなど
を楽しんだとのこと。
民法第770条(裁判上の離婚)の、おさらい
…え? これだけ?
花火大会やバドミントンだけで、訴えられる事になるのだろうか。
ここで、法律を確認しましょう。
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
離婚を求めた訴えではありませんでしたが、民法によると、恐らく5の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当てはまるかが争点になったと考えられます。
証拠に調査依頼をしたが、不貞行為の証拠は出なかった
夫婦関係が冷え込み、怪しんだ奥さんが、旦那の周辺から証拠探しをしたそうです。しかし、不貞行為を示す「ふたりがホテルにいる写真」などは見つからず、わかったのは「花火大会」「バドミントン」。
一般的には、「こんな証拠では裁判に勝てない」と訴える人は少ないでしょう。
しかし妻は、この証拠をもとに裁判を起こし、賠償金支払いの判決を勝ち取ったのです。
ただし、慰謝料は44万円。
安いですね。
裁判や証拠集めなどにかかった費用を考えると赤字なのではないでしょうか。
こう考えるとますます訴える気が失せそうなのですが、この裁判において「不貞行為がなくとも慰謝料裁判で勝てる」というのは、大きな判決と言えるでしょう。
訴えたのは妻。訴えられたのは相手女性
妻は、夫ではなく、不倫相手の女性を訴えました。おそらく離婚は望んでいないのでしょう。「こんな男はもういらない!」と、スカッと切り替えた方が精神衛生上は良いのかも知れません。悶々と悩む奥さんのことを想うと、相当な気苦労があったのだろうと考えられます。
ところで、旦那と相手女性は同じ会社。今後どうなるのでしょうか?
旦那さんは職場に居づらくなって退職を迫られたり、また社内での評判が落ちて出世の道も厳しいものになるかも知れません。
「こんなもんじゃ不倫にはならんだろう」という夫。その浅はかな考えが、大事を招いてしまいました。
大きなお灸を据えられたと考えて、前向きに進む事が出来ればと願います。
慰謝料は44万円、不貞の証拠があれば数百万円になっていた
裁判で勝ったのに、44万円という安い慰謝料となりました。
もし、不貞の証拠があれば、数百万円にはなっていたでしょう。証拠は個人でつかむのは限界がありますので、この辺り、本気で取り組むのであれば、調査のプロに依頼するのも手です。