妻の不倫が発覚し、
僕は再構築の道を選んだ。
不倫相手の男には、「別れてくれさえすれば良い。あとは自分の妻子を大切にして欲しい」と伝え、それを理解してくれた。そして頭を下げて謝罪。
……しかし。
実は、奴は本心はそうでは無かったのだ! 裏切り続けるあいつを許す余地は、もう一切ない!!
妻の不倫相手、男の不誠実さは許せない!
2週間前、妻の不倫相手と冷静な話し合いをおこなった。
妻と別れて欲しいと告げる為に。
話し合いの後、佐伯は僕に深々と頭を下げて見送った。
しかし奴は、腹の中でせせら笑っていたのだ。
桜子に、僕を罵倒する内容のメッセージを送り続け、さらに「別居から破綻のルートで」「俺たちは悪くない」など卑怯に妻をそそのかし、洗脳を続けていたのだ。
もはやアイツに一切の躊躇はない。徹底的にやってやる!
自宅で桜子と少し話し合った。妻のふてぶてしい態度からも佐伯の姿が浮かんで来る。今は桜子に対しての怒りというより、佐伯の不誠実さが腹立たしい。
2週間前の、僕との約束を反故にした罪は重い。
家にあった長さ120cm程度のアルミパイプをつかみ、僕は玄関に向かった。
妻は速攻で僕の殺気を察し、「やめて!」と叫び、駆け寄る。
いや、辞めません。
妻の制止を無視し、家を出て車に乗り込んだ。
只今夜10時、佐伯の自宅までは約30分だ。音楽のボリュームを上げ、佐伯の家へまっすぐ向かった。
助手席に置いた携帯電話が鳴り響く。妻のお父さんからだ。
桜子は自分の父親に助けを求めたのだろう。僕は電話に出るはずはない。止めて欲しいなんて一切思っていない。何度も何度も電話が鳴った。10回ほど掛かって来ただろうか。もう手遅れだ。
佐伯の家が見えた。一戸建て住宅が4〜5軒並ぶ、建て売り住宅の一角、といった場所だ。
玄関の前に車をぴったりと着け、エンジンを掛けたまま車を飛び降り、チャイムを鳴らした。激しく何度も押した。
「おいコラ!佐伯!出てこい!!」
門の前で、大声で呼んだ。
しかし扉は開かない。
車のクラクションも激しく鳴らした。
「お前、俺の嫁と別れる約束破る気か! 人の妻に手を出しておいて卑怯な男だな。出てこい!」
ようやく扉が開いた。
険しいような、
神妙なような、
ふざけたような顔をした、
佐伯がそこに立っていた。
(次回へ続く)→ 不倫相手に土下座されるも怒り収まらず!
第4章・不倫相手への怒鳴り込み(21)
2005年2月