不倫相手の男は、妻の10歳年上の妻子持ち上司。その不誠実さに僕は激昂! 2度目の対決に挑んだ。
前回は穏やかな話し合いだったが、今回は一切容赦の無い怒鳴り込みだ。
妻子がいる不倫相手の自宅へ、容赦ない怒鳴り込み!
「とにかく家に入ってくれ」。そう佐伯は言った。
玄関を入ってすぐの、1階の居間に通された。誰も居ない。
佐伯がなかなか出て来なかったのは、この殺気立った状況に対し、妻を説得し、そして二人の子供と共に家族を2階へ避難させていたからかも知れない。
「どういう事だよ、佐伯!てめえ約束が違うんじゃねぇのか」
佐伯は僕を睨む。
「てめぇ、こないだ俺がお前と話した時は、ちゃんと筋通したよな。このまま手を引けば俺は何もしないと伝えたし、お前も、お前の家族も傷つけていない」
佐伯はうなだれてヒザをついた。
両手を床につき、うつむいた。そして、そのまま頭を下げ……土下座だ。
突然、周囲の音が一切なくなったかのように感じた。10秒間ほどだろうか。
殺気立った空間に、佐伯が土下座している。空気が変わった。
そして、佐伯はゆっくりと頭を上げ始めた。
半分ほど上げた頃、佐伯はそのままの体勢で顔を45度ほど傾け、そして僕の方を向いた。
「これで気が済んだか?」
……え?
次の瞬間、僕は佐伯の胸ぐらをつかみ、立ち上がらせた。
「お前のその腐った考えが気に喰わないから、俺はイライラしてんだよ!」
こいつは怒っている僕に、さらに油を注いだ。どこまで馬鹿な奴なんだ!
胸ぐらをつかんだまま、佐伯を怒鳴りつけた。
そして……。
その瞬間だった。まるでドラマのような展開だが、警察2人が踏み込んで来た。
「お前達、ちょっと待て。まず、この車は誰のだ?」
「はい、僕のです」
そう警察官に伝え、部屋を出て玄関先まで戻った。警察官2人に挟まれての事情聴取だ。
(次回へ続く)→ 110番通報され事情聴取。不倫サレ夫の僕に、優しかったお巡りさん
第4章・不倫相手への怒鳴り込み(22)
2005年2月