妻の不倫相手宅への怒鳴り込み。土下座のあと、顔を上げながら「これで気が済んだか?」……と。
その瞬間、2人の警察官が踏み込んで来た。まるでドラマか映画のように。
警察官からの事情聴取を受けるが……
「何があったんだ?」
ひとりの警察官が、僕に質問する。
「いや、格好悪い話なんですが。実は、うちの妻が、ここの佐伯に寝取られまして。それを辞めてもらえるようにの話し合いですわ」
「そっか。あまり穏やかな感じはしないけど、絶対に手を出したらダメだぞ。手を出して暴力事件になったら、お巡りさんの出番になってしまうからな」
その時のお巡りさんの表情は、すごく親身で優しく感じました。考えてみれば、僕は自宅を出る前から、気持ちがずっと張りつめていたので、お巡りさんの言葉に心がほぐされたのかも知れません。
「また、お巡りさんが来ないと行けないようにはするなよ」
そう言い残してパトカーは去って行きました。
近所の人か、佐伯の奥さんが通報したんだろうか。このタイミングでのお巡りさんには、妙に癒される。
怒りの腰を折られた僕は、佐伯に最後にひとこと「お前は絶対に許さないからな」と伝えて、佐伯の家を後にした。
車に乗り込み、帰路につきながら、僕はこれからすべきことを考える。
ひとつは、この不倫を完全に終わらせる事。そして、桜子のお父さんから電話が鳴り続けていたので、妻の両親にこのことを説明する事だ。
(次回へ続く)→ 妻号泣!不倫を辞める念書。不倫された者の痛みとは。
第4章・不倫相手への怒鳴り込み(23)
2005年2月