約束を反故にした、不誠実な妻の不倫相手。
怒りの対決を終え、僕は家路についた。
不倫された側の心の痛みとは
帰宅すると桜子は泣いていた。
佐伯との関係がもう終わりだ、と感じたからだろう。
不倫を隠し、
夫である僕を騙し続け、
離婚を迫った。
妻が不倫をはじめてしまったのには、僕にも原因があるかも知れない。こうなるまではすごく夫婦仲が良かったので、まさに青天の霹靂だったが、どこかに隙があったのだろう。
とにかく許せないのは、嘘をつかれ、裏切られた、ということだ。
不倫をされて初めてわかったのだが、不倫をされる側にはふたつの痛みがある。ひとつは「愛するパートナーが不倫をしたという事実」。そしてもうひとつは「信じていたパートナーに裏切られたショック」だ。不倫をする側にはわからないかも知れないが、された側はダブルのダメージを受ける。
精神的には、相当な辛さだ。
不倫の事実を知らないまま離婚届にハンコをつくという事は無かっただろうが、不倫の事実がわかった今、「じゃぁ、佐伯と幸せにでもなれよ」と離婚する訳には行かない。
妻に念書。不倫をやめる、2度と会わないと約束
号泣する妻に、紙とペンを用意させた。
「いいか、俺がいう通りに書けよ」
今度ばかりは素直だった。
念書
私は、佐伯洋二との不倫をやめます。
今後、もう二度と会いません。
2005年2月○日
篠原 桜子
こんな子供じみた書面だが、一筆書くということで、桜子としてもケジメを付けて欲しかった。
書いた紙を見ながら、なんだか笑えて来た。桜子も泣きながら少し笑っていた。
妻のご両親に謝罪
翌日、ふたりで妻の実家へ行った。すぐ近くに住んでいるのだが、二人揃って行くのは久しぶりだ。
妻のご両親前に、「こんな事になってしまったのは、一家の長である僕の責任です。色々心労やご迷惑をお掛けしてすいませんでした」と、頭を下げた。
この言葉に偽りはない。妻の不倫、不貞ということだが、それを招いたのは二人の責任。桜子を妻に頂いて、幸せに出来なかった僕の責任でもあるのだ。
お母さんのすすり泣きが聞こえた。
(次回へ続く)→ 正社員と派遣社員との社内不倫。バレたことを伝え、退職
第4章・不倫相手への怒鳴り込み(24)
2005年2月