家庭内別居になって5ヶ月。妻は離婚を望んでいるが、僕は再構築に望みをかける。
裁判所から出頭命令。不倫妻が離婚調停申し立て
妻の「いつ離婚してくれるのか?」の想いは、日に日に増して来ている。妻は、まるでまな板の上の鯉。それなのに、僕の料理が一向に始まらないのだ。
佐伯への怒鳴り込み、そして家庭内別居から、5ヶ月が経った。
妻が原因不明の体調不良を訴え、さらに離婚をしたいと言い出してから、約1年だ。桜子にとっては、長過ぎる5ヶ月かもしれないが、僕にとっては前半の苦しみがあるので、家庭内別居だけを考えると長くは感じない。
離婚をしない理由は先に述べた通りだが、再構築にあたり時間も必要だと考えている。不倫という病気から目覚めるには、時間という薬が必要。特効薬はないのだ。
薄い氷の上を歩くような日々だが、僕は割らないように慎重に歩き続けた。
そんな頃、なんと家庭裁判所から「調停」への出頭の書面が届いた。
……え? 桜子が俺に離婚調停。
不倫、不貞を行った有責者側からの訴え。そんなのがあるのか。驚いたというより、半ば呆れた。
桜子は業を煮やし、何としてでも離婚したかったのだろう。桜子に裁判所からの件を伝えると、「お願いします」と言われた。
「もちろんちゃんと出頭するよ。第三者に入ってもらってきちんと話そう」
そう答えた。
家庭裁判所へ出頭
出頭日は、初夏の暑くなりはじめた盛り。
僕は裁判員の方の心証を少しでも良くしようと、カッターシャツとネクタイを新調した。涼しげで誠実さを出すために、真っ白なシャツに、水色のネクタイを選んだ。
裁判所といっても、ドラマや映画に出て来るような、裁判長がいて「被告人前へ」というような場所ではない。刑事事件ではないので、民事でこじれた問題を話し合う場所として用意されているようだ。
小さな部屋の真ん中に、大きなテーブルがある。ドアはテーブルを挟んでふたつあり、申立人(妻)と相手方(僕)が入り口で鉢合わせにならない為に配慮されている。
裁判所職員の方は年配の男女だった。どうも親戚のおじさんとおばさんに話を聞いてもらうような雰囲気。裁判とはほど遠い和やかな空気を感じる。
(次回へ続く)→ 離婚調停で「有責者からの離婚申し立ては珍しいですね」と言われ、結果はもちろん不調
第5章・やる直せるか?それとも離婚か?(27)
2005年7月