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母親に連れ去られる子ども。「パパは?」

子どもの連れ去り、妻・夫の同意がなくても違法ではない。法律の整備をもとめて国家賠償訴訟

不倫撲滅を掲げる本サイト「妻が不倫しています」を通じ、不倫をされて苦しんでいる・苦しんだ経験がある方々と大勢知り合いました。

そんな中、僕は「子どもの連れ去り問題」を知ったのです。連れ去りといっても、第三者による誘拐や拉致ではなく、夫婦の不仲に乗じて、一方の親が妻・夫の同意なく、子を連れて家出・別居してしまうことです。

Twitter で知り合った方に、「妻が不倫をし、その上、子も連れ去られた」という男性がいらっしゃいます。僕はその実態に驚愕しました。こんな酷いことがあってもいいものか……と。

実はこれ、日本の法整備が不十分で、子の連れ去りを防ぐ法律が無いそうです。

僕はまだ、この問題については不勉強です。もっと詳しく知りたいと思っていた矢先、「子どもの連れ去り問題に対して、国家賠償訴訟を起こした14人の親」のニュースが飛び込んできました。

この国家を相手にした訴訟により、子の連れ去り問題が進展する可能性があります。また、こうした問題が起きていることを世間に少しでも広めることも大事なのではないかと考え、微力ながら本サイトでこのニュースを紹介します。

子を連れ去られた親14人が集団で、国を相手に国家賠償訴訟

訴状と裁判所

報じていたのは、弁護士ドットコムニュースです。記事冒頭から引用します。

子どものいる夫婦が、不和による別居をするにあたっては、どちらか一方が子どもとともに家を出ることが多い。子どもと離れて暮らす親14人が2月26日、子の「連れ去り」を防止する立法措置を国が怠り多大な精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法1条1項に基づき、1人あたり11 万円の国家賠償を求めて集団提訴した。

夫婦の別居で「子の連れ去りが横行」「国は規制を怠った」当事者が集団提訴 より一部引用

マコト

えっ……たったの11万円。しかも、訴える相手がなぜ国なの?

そう思う方もいるでしょう。

しかし、この訴訟の真の狙いは「11万円」ではありません。国は、子の連れ去りを防止する立法措置を怠った。つまり、国に対して法整備を求めているのです。

このニュース記事には書かれていませんが、集団訴えを起こした14人の親たちは、すでに調停や家庭裁判所への申し立てはしているでしょう。しかし、そこで理不尽な結果しか得られなかった為、今回の集団訴訟に踏み切ったのだと思われます。

子の連れ去りは憲法違反

法整備の話の前に、集団訴えを起こした14人の親たちは、「子の連れ去りは、憲法で保障された権利を侵害している」とも訴えています。

訴状などによれば、原告は「配偶者に子を連れ去られた(引き離された)結果、憲法13条(幸福追求権人格権)、憲法24条1項により保障されている(1)リプロダクティブ権(子を産み育てるかどうかを意思決定する権利)、(2)親権、(3)監護権の基本的人権を、それぞれ侵害された」としている。

夫婦の別居で「子の連れ去りが横行」「国は規制を怠った」当事者が集団提訴 より一部引用

マコト

ちょっと難しいですが、簡単にまとめると「国は子の連れ去り問題を放置していて、それは幸福追求権を定めた憲法13条などに違反している」という訳です

 

以下、参考に日本国憲法より該当条文を抜粋。参考にご覧ください。

第三章 国民の権利及び義務

〔個人の尊重と公共の福祉〕
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

〔家族関係における個人の尊厳と両性の平等〕
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

マコト

では、どのような法整備が望ましいのでしょうか? 今回の訴訟では、このように訴えています

日本は「ハーグ条約」に加盟国なのに、国内が対象外なのはおかしい

日本が加盟する「ハーグ条約」は原則として、片方の親が16歳未満の子を国外に連れ去った場合、親の求めに応じて元の居住国へ引き渡す。ハーグ条約では国内については対象ではない。

作花弁護士は「この裁判を通して法律が変わり、ハーグ条約に適合する国内法になること。いわば親による子どもの誘拐、無法地帯のような状態をなくすことがこの裁判の最大の目的だ」と話した。

夫婦の別居で「子の連れ去りが横行」「国は規制を怠った」当事者が集団提訴 より一部引用

ここが最大の焦点です!

ハーグ条約という、16歳未満の子どもを連れ去りから守る国際条約があります。これに日本も加盟しているのですが、このハーグ条約を国内にも適合した法律をつくって欲しいということです。

マコト

うん。でも、ハーグ条約がちょっとわかり辛い。つまり……何?

 

ハーグ条約とは

ハーグ条約に関しては、外務省のYouTubeチャンネルに公開している「ハーグ条約を知ろう!」シリーズの動画が、とてもわかりやすいです。一部引用してご紹介します。

 

ハーグ条約とは 夫婦間の同意なく子どもを海外に連れて行ってはいけない

「海外で暮らす家族。一方の親が、他方の親に同意を得ず、子どもを連れて日本に帰国してしまった。海外に残された親は、今いる国に子どもを取り戻したいと思えば、ハーグ条約に基づいて申請することができる」

 

ハーグ条約 逮捕されることもある

「もう一方の親の同意が無いにも関わらず、子どもを連れて国境を越えると、国によっては逮捕される可能性もある」

 

見てのとおり、ハーグ条約は「同意なく子どもを連れて国境を越えた」ときに助けとなる国際間の取り決めです。「日本はこのハーグ条約の加盟国なのだから、国内でもこれに準ずる《子どもの連れ去り》に関する法律を整備すべきだ」と、訴訟で訴えているのです。

うん、確かにごもっともです。

 

ハーグ条約についての詳しい情報は、外務省のホームページをご覧ください。

連れ去り側にも理由がある……という意見も

子どもの連れ去り問題。

国内での法整備については、僕も同意です。夫婦間の話し合いもなく、ある日突然わが子が居なくなるのです。しかも、面会できない、裁判所から面会制限を掛けられる。あまりも理不尽ではないですか。

ですので、今回の集団訴訟で勝訴することを、僕も願っています!

 

では、連れ去った側は、なぜそうしたのか?

これについても調べてみると、「離婚してもらえなかったので、どうしても子どもを連れて黙って家を出るしか無かった」という声があるのを知りました。話し合い、調停、離婚裁判などが難しく、どうしようもなかった……。きっと様々な事情があるのでしょう。

でも、こうした一方的な行動にでる背景にも、法律の不備が要因になっているかもしれません。

たとえば、「不貞行為の証拠が裁判で認められるのが難しいので、子どもを連れて逃げるしかない」だったり、「離婚をすれば親権争いになる。日本では離婚後の共同親権が認められていないので、子を連れ去って既成事実を作ってしまおう」など。

 

夫婦関係が泥沼化した経験がある方は、大半が身に染みて知っているかと思いますが、理不尽なことに色々直面します。その中でも、今回の「子どもの連れ去り」については、特に大きな問題のひとつです。

裁判所ではしっかりと審議され、国も法律のあり方を再考されることを願いつつ、自分含め多くの方も考えるきっかけになればと思います。

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筆者: マコト(篠原誠)

篠原 誠(しのはら まこと)
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