再構築(さいこうちく)
再構築の意味
夫婦関係において使われる再構築とは、不倫を完全に終わらせたのち、夫婦関係を再び築き直すことです。
再構築の由来
夫婦関係において「再構築」という言葉が使われ始めたのは、1999年8月19日に公開されたウェブサイト「不倫からの帰還」がきっかけです。同サイトは「配偶者、または本人の不倫を終結すること、 また、終結した後の夫婦の再構築をめざすこと」の趣旨を掲げ、運営されていました。
また同サイトでは、「夫婦の再構築」という表現について、以下のように解説しています。
「このサイト立ち上げの時に、夫婦は不倫後、元通りになるのではなく、新たに夫婦を作り直すべきであると考え『夫婦の再構築』という言葉を使用いたしました」
ウェブサイト「不倫からの帰還」は、およそ20年の運営を経て、2018年に閉鎖されました。
修復と再構築の違い
よく似た言葉に、修復があります。
修復というのは、「修理をして元通りにする」という意味です。
不倫で壊れた夫婦関係を、何もなかったときの関係に戻せるでしょうか? 家電や家具の修理のようにはいきません。再構築では、先に書いた通り「新たに夫婦関係を作り直す」ことです。
他にたとえるなら、「修復と復興」があります。家の一部が壊れたら修理して直すことができます。でも、戦争や災害で街が壊滅状態に陥った場合、元に戻すことは不可能です。壊れたことを受け入れた上で、新たに作り直す「復興」を目指すことになります。
再構築は、復興に近い意味合いです。
不倫発覚からの再構築、成功させるための注意点
再構築を行う際、大切なのは「不倫関係を終わらせてから」ということです。夫婦で、不倫があった事実と向き合い、完全に不倫関係を終わらせてから、再構築へと進みます。まだ不倫が終わっていなかったり、隠れて継続していたりする場合、再構築は上手くいきません。
夫婦が共に、同じ方向を見つめることが大切なのです。
再構築というより、再結婚の方がわかりやすいかも知れませんね。そこがゴールではなく、スタート。
不倫の責任を分かち合う(もう一度ベストカップルを始めよう )
1998年に日本語翻訳版が出版された、ジャニス・エイブラムズ-スプリング著「もう一度ベストカップルを始めよう (旧タイトル:不倫は別れる理由にならない カップル再生の処方箋」)にも、再構築について書かれた項目があります。
同書第4章「決断 迷いと不安を消し去る」の、「責任を分かち合い、再出発する」項に、こう書かれています。
このあとは過去から現在に焦点を移し、パートナーシップの再構築へとコマを進めます。
つまり、再構築中にも不安をおぼえたときは、夫婦でしっかりと話し合い、お互いで力を合わせながら進んで行くということです。
夫婦の再構築を始めたい方は、ぜひ本書をご覧ください。
再構築のデメリット
夫婦の再構築は、素晴らしいアイデアです。
しかし、必ずしも上手くいくとは限りません。水面下で不倫関係が継続していたり、どうしても許せなかったり、完全に夫婦関係にヒビが入って修復が困難な場合があったりするからです。
その場合、再構築にとらわれ過ぎると、お互いが苦しみ続けることになります。特に不倫をされた側は、配偶者が不倫をしている時から苦しんでいるので、苦悩期間が長期化します。そのため、精神的にストレスがかかったり、仕事が手につかなくなったりする恐れがあるのです。
自分のため、お子さんのためにも、見切りをつけて新たな一歩を進む方が良い場合もあります。
夫婦・カップルカウンセリングの活用
熟年夫婦の離婚の危機を描いた映画「31年目の夫婦げんか」では、夫婦の再構築にカウンセリングを活用しました。
お互いの気持ちがかけ離れてしまっている場合、第三者にあいだに入ってもらうことで、自分たち夫婦を客観視することができます。また、配偶者から「こうして欲しい」と直接言われるより、カウンセラーから指示を受ける方が素直になりやすくなります。
再構築のステップに進んで上手く行かない場合は、夫婦カウンセリング・カップルカウンセリングを活用してみるのも良いでしょう。