行政書士の先生のおかげて、慰謝料請求は上手くいきそうだ。これまで、家庭も、仕事も、泥沼に堕ちて行く感覚だったが、ここを機に人生の方向を変えたい。
不倫問題も、仕事も、過去とは決別! 新たな道を歩みたい
妻の不倫相手、佐伯への慰謝料請求の主導は行政書士の山城先生に託した。
不倫問題終結、そして離婚への道は着実に進んでいる。
また僕は、この堕ち続けるマイナススパイラルからの脱却のため、仕事の環境も変えようと決意した。
退職だ。
ちょうど10年勤めたので、自己都合とはいえ、多少の退職金は出る。わずかな貯金と合わせれば、半年ほどは生活できる資金になるだろう。
まずは、辞める! 捨てる!
断捨離ではないが、過去と決別することで、新たな一歩を踏み出すことができる。
会社への未練は一切ない。
辞めると考えるとなんだかワクワクしてくる。
思い立って、早速ネットで「辞表の書き方」を検索した。
翌日、自筆で丁寧い書いた辞表の封書を持って、上司の元へ。唐突だったので「なぜ辞めるんだ」と驚かれたが、「勝手申してすいません。どうしてもやりたい事があるので」と答えた。
どんどんと身軽になって行く。
何でも出来そうな気分だ。久しぶりに空が気持ちいい。
「仕事を辞める」と言う事を、何人かの知人に伝えた。妻の不倫や離婚問題については、滅多な事では口にしないが、仕事のことなら良いだろう。
身軽になって行く感覚が気持ちいい。最高だ。
嬉しい!「うちで働いてくれないか」と、早速声が掛かった
まさに偶然だったのだが、僕が仕事を辞めることを人伝えに聞いた、とある方から電話があった。
「ウチで働いでくれないか」との事だ。
こんな事ってあるんだなぁ……と驚いた。軍資金が尽きる半年間の内に次の道を考えよう、と思っていたのたが、今の仕事の最終出勤日を迎える前に声が掛かった。
自宅からは随分遠い場所にあるので、「会社を完全に辞めたのちに、ご連絡させてください」と返答させて頂いた。
行っても良いかもな。
自分を必要としてくれるなんて嬉しいじゃないか。
勤務地は遠くなるので引っ越さないと行けない。これからも妻が出て行った3LDKに一人暮らしし続けるのも何だし、思い切って新しい土地へ行ってみるのも良いだろう。こんなチャンスは滅多とないし。
僕はその会社へ入る事を決めた。
少し自分を休めて、親孝行する時間も欲しいので、入社は3ヶ月後とお願いした。
服を全部脱ぎ捨てて、新しい洋服に袖を通す。そんな感覚だ。
何度もしつこいが言わせて欲しい。最高に気持ちいい!
(次回へ続く)→ 最終回。妻に不倫され、2年半戦い抜いた男の顛末は…?
第6章・新たな人生へ向けて(38)
2006年7月