第2章・妻は不倫をしているのか?(8)
2004年11月
妻から突然「冷めた」「離婚したい」と告げられ、4ヶ月が過ぎた。不倫を確信しているが、確実な証拠はまだ手に入っていない。
不倫疑惑の中、迎えた結婚記念日
明日は結婚記念日だ。
4年目の。
去年までは楽しかった。
いや、つい3ヶ月前まではラブラブだった。
何故こんな状況になったしまったのか。
結婚記念日が明日だ、と言う事は当然桜子も知っているはずだ。
だけどお互い何も言わない。言えるはずがない。
こんな状況で、「明日の結婚記念日どうする?」なんて口に出すなんてのは、空気が違い過ぎる。
少し前に「離婚したい」と言われたところなのだ。離婚話は封印、というか、その話にならないようにしている。今、結婚記念日の話をすれば、「それより私がお願いした離婚の話はどうなの?」なんて再燃してしまうリスクがある。
とにかく、何も言わずに結婚記念日前夜を終えた。
結婚記念日の朝、いつも通りお互い仕事へ出掛けた。
僕は、もやっとした気分で仕事をしていたが、夕方妻から携帯へメール。
「今夜は会社の人とごはんを食べて帰ります」。
ホッとした。今夜に限って言えば、全然楽しくない夜を過ごしたくなかったからだ。
僕は仕事を終えて帰宅した。
宅急便の不在届けがポストに入っていた。
僕たちふたりが結婚する事になった切っ掛けをくれた先輩からだ。愛のキューピット(男だが)、仲人、そんなお世話になった人物だ。
まだ当日の再配達がギリギリ間に合いそうだったので、宅配業者に電話し、再配達してもらった。
届いた荷物は、紅白のワインセットだった。結婚記念日をお祝いする手紙を添えてのプレゼント。
その先輩は僕たちの不仲を察知して、心配りをくれたのだ。
泣けました……。
妻は夜11頃帰って来た。
会社の人と食事をしてきたのか、それとも今夜を避けるために独りで食事をしてきたのかはわからない。
先輩から来たプレゼントを見せると嬉しそうだった。
手紙を読んで、ふぅん……と。
「優しいよね」と言っても、「そうだね」と、それ以上は話が発展しない。
寂しい、寂しい、4年目の結婚記念日は終わった。
来年は楽しく迎えられるようにしたい。
(次回へ続く)→ どうしてこうなったのか。整理するために日記を付けることにした。