「他人の浮気話なんで、どうでもいい」
「芸能人・政治家の不倫ニュースはいらない」
週刊誌などで有名人の不倫が暴かれると、マスメディアはじめ、SNSなど個人間でも、いつも大きな騒ぎとなります。
そうした様子を見て、「なぜ、赤の他人の不倫に怒るのか?」「お前らには関係ないだろ」といった声が上がります。確かに、主要なニュースを差し置いて、不倫報道に熱狂する姿に批判的になる気持ちは、わからなくもありません。
今回は、法律的な視点、そして不倫をされた側の実情からの視点で、不倫報道批判に「待った!」をお伝えします。
不倫は違法 声を上げるなら、民法の改正を訴るべき
だいぶ古い言葉ですが、「3年目の浮気」「浮気は男の甲斐性」などの言葉があったように、浮気(不倫)というのは、《された側の気持ちの問題で対処せよ》と捉えられがちです。
でも、知っていますか?
不倫は違法行為なんですよ。
「他人の不倫にいちいち騒ぐな! お前らには関係ないだろ」と言う方は、他の違法行為についてのニュースはどうなのでしょうか? そうしたことに対しても、「騒ぐな!」と一喝するのでしょうか。
もし、不倫報道に批判したい気持ちが昂ってきたのであれば、法律改正を掲げて声を上げれば良いと思います。
- 「貞操義務を廃止せよ」
- 「一夫一妻制は廃止せよ」
- 「オープンマリッジで重婚を認めろ」
こうした具体的な施策を掲げ、自分の理念を広めたり、国や社会を変えようとしたりする方が、かっこいいのではないでしょうか。
\夫婦に関する憲法・法律/
日本国憲法 第24条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
民法 第752条「同居、協力及び扶助の義務」
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
民法 770条「裁判上の離婚」
民法770条では、離婚について規定されています。条文は以下の通りです。
1)夫婦の一方は、以下の場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
- 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2)裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
民法 第709条「不法行為による損害賠償」
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法 第724条「不法行為による損害賠償請求権の期間の制限」
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
たとえば、探偵に浮気調査を依頼し「不定高の証拠」を得ることができたのなら、そこから3年間の間に、慰謝料を請求するか、しないかを、考えることができます。ですので慌てなくても大丈夫! じっくり検討することができるのです。
刑法 第184条「重婚」
配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、2年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。
違法行為を助長するなら、憲法・刑法・民法の改正を掲げて声を上げるべき
長々と書きましたが、婚姻関係というのは、憲法、刑法、民法で守られたものなのです。
「お前らには関係ないだろ」
「不倫報道は不要」
こうした軽はずみな発言は、慎むべきかと思います。
もし、「不倫そのものを容認すべき」だとか、「婚姻関係を自由なものにしたい」などと考えているのであれば、ぜひ、ご自身の理念に沿って、憲法・刑法・民法の改正の声をあげて欲しいと思います。
海外では、不倫くらいで騒ぎ立てない
また、不倫報道があるたびに、「海外では、不倫くらいで業界から干されたり、強くバッシングされたりしない。それなのに、お前らは……」と非難の声を上げる方が現れます。
でも、それは国民性だけでなく、法律の問題もあるのです。
たとえばテレビ。
テレビは、企業からの広告収益で経営しています。そのためテレビは、違法行為を働く者や、反社会勢力に関わる人を、出演させられないのです。スポンサーが付きませんから。
繰り返しになりますが、不貞行為は違法。
こうした事情を無視して、「海外では……!」と叫ぶのも浅はかです。先と同様に「不倫を合法に」「オープンマリッジを認めろ」など法律改正を掲げたりするべきでしょう。
【補足】オープンマリッジとは
夫婦以外との性交渉を夫婦間で認める結婚のかたちのこと。
不倫で壊れる家族がいる
そして、もう一方の「不倫をされた側の実情」からの視点です。
不倫は、つい当事者だけの問題だと考えがちです。
不倫をした者、
不倫をされた配偶者。
でも、その背景には、何人もの人がいるのです。
先日、僕はこんなツイートをしました。
西野亮廣の「他人の不倫について許せない人達について考えてみた結果」を聞きました。#Voicy
理解できない
なぜ赤の他人に怒れるの?
お前らに一切関係ないよと、ひたすら自論を展開してました。
不倫容認派ではないけど、絵本作家なのであれば、子どもが深く傷つくということを考えて欲しかった。
— マコト@不倫撲滅! (@tsumagafurin) January 25, 2020
お笑い芸人であり、「えんとつ町のプペル」など人気作品を持つ絵本作家としても知られる西野亮廣さんが、東出昌大(俳優・杏さんの夫)と、唐田えりか(俳優・独身)の不倫報道の騒ぎに対して、苦言を呈していました。
なぜ、他人の不倫に騒ぐのかわからない? あなたには関係ないよ……と、いった具合に。
でも、それは想像力が欠けている、と僕は思うのです。西野亮廣さんは独身なのでわからないかも知れませんが、不倫の被害者は配偶者(妻・夫)だけではありません。子ども、親、兄弟など、多くの人が傷つきます。特に、子どもへの被害は甚大です。精神的ショック、経済的ショックなど、様々なショックが与えられるのです。
西野亮廣さんのような発言をされている有名人は何人もいましたが、西野亮廣さんは絵本作家であり、子ども達に夢を与えてきた方なので、そこは思慮して欲しかったです。
西野亮廣さんだけを批判しているように書いてしまいましたが、そういう訳ではありません。
不倫を軽々しく考える方は、もう一歩踏み込んで、その先にあることも想像して欲しいのです。
別の記事ですが、親が不倫した子どもの悩み。何十年経っても、そのトラウマが消えないと悩んでいる方のお話をご紹介します。
■関連記事
親の不倫は子へのネグレクト。母親の浮気が、何十年経っても許せない!
芸能人・政治家の不倫を騒ぎ立てる意義
最後に、不倫報道を取りあげたり、それに注目したりする意義についてお話しします。
僕のTwitterにリプライで、こんなご意見を頂きました(匿名の鍵付きアカウントですので、内容は少しぼかします)。
声を上げるとことで、「世論を動かす」ということもあるんだよ。
そう、不倫は心を殺される。
不倫は、これまで培ってきたことを、悪意を持って破壊する卑劣な行為です。
これまでの年月は何だったのかと虚しくなり、これまで支えてくれた両親や兄弟など家族に申し訳なくなり、結婚を祝ってくれた友人や同僚にも顔向けできない……。
さらに子どもがいる場合、不倫をした妻・夫にとって、わが子や家族とは何だったのか? と、悲しみ、怒り、絶望が、とめどなく湧き出てくるのです。もちろん将来への不安も。
先日、「裁判まで行くと、平均的に女性からは75万円くらい、男性は高くて200万円くらいの慰謝料しかとれない」という話を聞きました。
法律で夫婦関係が守られているとはいえ、その罰則はあまりにも緩いものです。
パートナーの不倫を経験した方の多くは、きっと現状に対する嘆きや怒りがあるのでしょう。「不倫とは、そんな甘っちょろいもんじゃないぞ!」と。
あともう一つ言うと、昨今の不倫騒動をみていると、「妻が妊娠・育児中に不倫をする夫」が多いように見受けられます。
女性にとって、妊娠や出産は命がけです。
自分の全てをかけて、命を削って取り組んでいるのです。そんな最中に……
「夫が不倫」
もはや、人として何かが欠落しているのでは無いかと思えるほどの、最低、最悪の行為です。
育児にしたって、授乳には痛みが伴います。乳児のあいだは、まともな睡眠時間もとれません。そんな心身ともに限界まで疲弊しているところに、最も寄り添わないといけないはずの夫が、他の女とうつつを抜かしているのです。
不倫は、心を殺される。
この実情を、もっと知ってもらいたいと思います。
そして僕自身は、不倫の厳罰化を望んでいます。
飲酒運転はかつて、駐車違反や信号無視と同じような軽い違反でした。しかし「それはおかしい!」の世論が高まり、超厳罰化されたのです。
・免許剥奪
・重い罰金
・同乗者も罪
・酒を勧めた奴も罪不倫は、悪意を持って家庭を崩壊させる行為。
— マコト@不倫撲滅! (@tsumagafurin) January 31, 2020
関連記事「妻・夫の不倫と戦うために」
本サイトは、不倫撲滅! を掲げています。
僕自身の「不倫をされた体験談」をせきららに語りつつ、妻・夫の不倫問題に立ち向かうために知っておきたい「不倫を知ったときの心構え」「不貞行為の証拠を得る方法」「相手と戦うために知っておきたい損害賠償請求・時効などの法律」などのコラムも書いています。
さらにそれらをまとめた「不倫撲滅マニュアル」も執筆中です。
ぜひ、こちらのページも合わせてご覧ください。