第1章・謎の異変「体調不良」 (2)
2004年9月
妻が無気力になって、2ヶ月が経った。
これまで無かったセックスレスも、2ヶ月間に及んでいる。
離婚したい、という妻。理由は「冷めた」というだけ
無気力な妻に元気になってもらおうと努力しても、一向に以前のような明るい笑顔は見れず。「友達と会う」と言って出かけた時は、逆に生き生きと帰って来る。
なぜ?
ただただ、心配の日々が続きました。
しかし、桜子の『行動』と、桜子が言う『体調不良』。もうたまらず、「どういう事か?」と問いつめました。
桜子から出た一言は……
「気持ちが離れた」。
アタマの中が真っ白になりました。
その時の感情は、悲しみだったのか、怒りだったのか……。
それから毎晩のように深夜まで話し合いました。一体何があったんだろう? 桜子の中で何が起きているんだろう? 心の病なのか? それとも、これが倦怠期というものなのか?
結論の出ない話し合いが続き、いつまでも平行線。お互い疲れ切って行きました。
そんな生活から2週間が過ぎた頃、遂に桜子から「離婚したい」と申し出がありました。
どうして……? つい先月まで愛し合ってたじゃないか。
理由を聞いても「冷めた」と答えるだけ。
その時の妻は、なぜか冷静に見えました。「好きになるのに理由が無いように、冷めるのにも理由は無いの。しょうがない」と。
僕は思いがけない告白にショックを受け、「なんとかやり直したい」と必死で訴えました。
少し話は脱線しますが、自分の父の話をします。ちょうどこんな時期に、僕の父が還暦を迎えました。すごく優しい父なので、きちんとお祝いをしたかったのです。父へのプレゼントを用意し、食事に誘いました。
僕は『妻と原因不明の不仲。しかも離婚を申し出られている』といった心中を悟られ心配されたくなく、無理矢理妻の桜子を連れ、夫婦で父を祝いに行きました。
仮面夫婦からのお祝い。心から祝えていない親不孝な自分。辛い……。
(次回へ続く)→ 疑心暗鬼。まさか妻は不倫をしているのか?