疑心暗鬼。
腑に落ちない話し合いが連日続き、自分自身を、そして二人を、客観的に見る余裕が失われつつありました。
妻の携帯電話に、職場の上司との通話履歴が
僕が会社に出勤で、妻の桜子は休日。そんなある日のこと。
桜子は朝から「今日は親しい友人(女性)と遊びに行く」と言っていました。日々緊迫ムードが続いている中なので、律儀に今日の予定を言ってくれることに対しては、何かしらの救いのようなものを感じました。ですが、その時の僕のアタマの中は、ぐわんぐわんと冷静さを保てていませんでした。
仕事を終え、帰宅したその日の夜のことです。
妻が風呂に入っている間に、遂に初めて妻の携帯を勝手に手に取りました。そして中を見ました。
発信履歴・着信履歴に女性の名前は無く、代わりに「洋二」という男の名前がありました。
洋二……?
洋二とは、恵利の職場の先輩、佐伯さんの名前だ。
先輩とは言っても、僕や桜子と音楽の趣味が合い、よくおすすめのCDを貸し借りする程の親しい仲の人。僕も会った事があり、良い印象を持っている男だ。
……まさか?
妻が風呂から出て、
落ち着いた頃、
妻に
「不倫していないか?」
と聞いた。
「違う」と、はっきり返答。
怖かったんだと思う。
疑うよりも妻の言葉を信じました。
やっぱり体調不良が続いていたんだ。
自分にそう言い聞かせ、それ以上は踏み出せませんでした。
(次回へ続く)→ 無表情、無関心……妻はきっと不倫をしていると確信
第1章・謎の異変「体調不良」 (3)
2004年9月