第3章・不倫相手との話し合い(18)
2005年2月
妻の不倫相手との話し合いをした。男は反省したそぶりを見せ、僕に深々と頭を下げた。
僕は男に慰謝料を請求したり、訴えたりするつもりない。ただ「妻とは別れて、自分の家族を大切にしてほしい」とお願いしたのだ。それに理解を示してくれた。
不倫相手の男に「妻と別れてくれ」と伝え、家路に
桜子の不倫相手、佐伯との話し合いが終わった。
今夜はもう、妻とは話したくない気分だった。
佐伯との話し合いは穏やかに済んだとはいえ、相当な労力だったのだろう。
とにかく、今夜はもう誰とも話したくなかった。
今、僕の気持ちは妙に落ち着いている。
今日はぐっすり眠れるかもしれないな。
そう思いながら、車を走らせ自宅へと戻った。
自宅に着いたのは、深夜0時過ぎ。
妻は起きて待っていた。
どうやら、察したというより、佐伯より連絡があったのだろう。
妻から「別居したい。実家に戻る」と言われた。
これから僕は再構築、妻とのやり直しに尽力したいのだ。
その矢先に別居とは。
僕の口が重くなる。
空気も重く張りつめた。
「今、佐伯のところへ行って来た。桜子と別れてくれと伝え、佐伯は了承したよ」
ようやく口を開き、妻にそう言った。
妻はうつむいたまま、小さくうなずいた。
「今、俺も桜子も冷静な判断はできないだろう。別居の話は考えるが、すぐに返事はしない」
口調を強め、僕はそう伝えた。
「別居したい。実家に戻る」という妻
再構築はうまく行くだろうか。
ここからひとつひとつの選択が、のちの展開に大きく響いて来るだろう。
もし、今ここで「佐伯は浮気を認めたぞ! コラ、お前も何とか言ってみろ!」なんて過激に振る舞えば、完全なる《覆水盆に返らず》状態になってしまう。妻の口から別居という話が出たといういうことは、結構な程度にまで更地化する必要があると思う。どうやって進めるべきか。
妻に、佐伯と会って話したことについて話した。
桜子と不倫をしていたと認めたこと。
桜子と別れて欲しいと伝えたこと。
佐伯自身の家族を大切にして欲しいと伝えたこと。
そして、佐伯がキチンと僕の話を聞いてくれたこと。
不倫相手との最初の折衝。
そんな一日を終えた。
明日は良い日が来ると願って。
(次回へ続く)→ ダッチワイフを置いて家を出ろ。不倫相手が妻に別居するよう執拗にメールしていた!