2022年春、TBSで放送されたテレビドラマ「マイファミリー」を第1話から最終回までを見終えての考察です。
「犯人は誰なのか?」
「なぜうちの子が狙われたのか?」
「誘拐された子どもは生きているのか?」
など、謎解きを楽しみながら見る、子どもの誘拐と家族の崩壊をテーマにしたドラマです。
本記事は、ネタバレを含みますので要注意!
見たく無い方は、ここでこのページを閉じてください。
不倫が諸悪の根源!
本ドラマには、主に4つの家族が登場します。
- 鳴沢家
夫・鳴沢温人(二宮和也)/ ハルカナ・オンライン・ゲームズ CEO - 三輪家
夫・三輪碧(賀来賢人)/ 弁護士 - 東堂家
夫・東堂樹生(濱田岳) / 元刑事で東堂リサーチサービスを立ち上げる - 阿久津家
夫・阿久津晃(松本幸四郎)/ NEXホールディングス CEO
捜査をする警察は、「狂言誘拐なのではないか?」「被害者を装った犯人がいるのではないか?」と内部を疑います。
しかし真犯人は、警察内部の人間だったのです。
犯人は、捜査本部を束ねる神奈川県警捜査一課長、吉乃栄太郎(富澤たけし・お笑いコンビ「サンドウィッチマン」)。
なぜ、警察官が営利目的の誘拐をしたのか?
その原因が不倫だったのです……。
W不倫、子どもに密会写真をスマホで撮影される
神奈川県警捜査一課長・吉乃栄太郎は、面倒見の良い上司で、家に帰れない部下がいると、家族のケアまでするような人物でした。
その延長で、当時の部下・東堂樹生の家庭へのサポートを行います。育児に悩んでいた東堂亜希さんからいろいろ相談を受けるうちに、不倫関係に発展してしまったのです。
娘の東堂心春さんがお母さんの不倫に気づき、スマホで二人の密会写真を撮影。
東堂心春さんはそれを持って、後日、吉乃栄太郎へ迫りました。
吉乃「わかった。もう会わない」
心春「もう一つお願いがあります。私を誘拐してください。ママたちはこのままでは離婚してしまいます。でも、私が誘拐されたら、一緒に心配してまた仲良くなれるかもしれません。計画書も作りました。あなたが犯人だとは絶対に言いませんから」
吉乃「誘拐は犯罪だよ。そんなことすれば、おじさんは……」
心春「決めるのは私です!」
吉乃「わかった、それを見せてくれるかな」
吉乃栄太郎は、東堂心春さんのスマートフォンを無理矢理奪い、写真を削除しようとしました。そこで揉み合ううちに、心春が階段から転落。
心春さんは、死んだのか、生きているのかは、描かれていません。
誘拐事件を起こし、不倫を隠蔽しようと画策
その後、吉乃栄太郎は「東堂心春さんを誘拐した」と、東堂家に営利誘拐を仕掛けます。
報道協定(誘拐されたことを世間に公開しない)により事件を風化させるのが狙い。吉乃栄太郎は、心春さんが作った誘拐計画書を参考に、「小学1年生の時に遠足で行った場所は?」の質問をしました。結果、答えることができず、人質となった心春さんを家族の元へ返しませんでした。
その後、被害者家族として心春さんの母・東堂亜希(珠城りょう)が警察の捜査を受けるも、供述が二転三転。亜希は、吉乃が犯人だとは知らないまま娘が誘拐されたと信じ、娘が誘拐されたときに浮気をしていた自分を責め、姿を消しました。
「探さないで下さい」
と書いた置き手紙を残して。
またこのとき、亜希が証言しないよう裏で吉乃が説得をしていました。
失踪の直前、亜希は吉乃に連絡し、「心春のところへ行く」と伝えました。それを受け「亜希は自殺した」と確信し、吉乃は安心しました。このまま事件を迷宮入りさせられる……と。
ここから第一話の、鳴沢友果さん誘拐へと繋がっていきます。吉乃は「いずれ東堂樹生が逮捕されるだろう」と考え、裏でそう誘導するのです。
不倫写真、心春さんは友人の阿久津実咲さんに託していた
しかし、神奈川県警捜査一課長・吉乃栄太郎の思惑通りに、ことは進みませんでした。
東堂心春さんは、親友の阿久津実咲さんに不倫現場を撮影した写真を託していたことがわかったのです。
吉乃は、実咲さんを誘拐。
目的は写真データの回収。
吉乃は、東堂樹生と鳴沢温人の誘拐事件の犯人に仕立て、実咲さんを解放するつもりでした。しかし、実咲さんが自力で脱出を試み、高所からの転落により瀕死の事故を負ってしまいます。
吉乃「不倫が家族にバレるのがこわかった」
最終回、吉乃栄太郎は真犯人として逮捕。
吉乃は「(不倫の事実が)家族にバレるのがこわかった」と供述。
鳴沢温人(主演・二宮和也)は、警察から説明を受け、こうつぶやきました。
「怖がる存在じゃないんだよ、家族は」
心春ちゃんは、まだ生きている?
最初に誘拐された、東堂心春ちゃん。
ドラマの中では、吉乃栄太郎と揉み合いになり階段から転落するシーンのみ描かれました。そこでの心春ちゃん生死はわかりません。
しかし最終回終盤、弁護士の三輪碧(賀来賢人)が、留置されている東堂樹生に伝えます。
「心春ちゃんはまだ見つかっていない。でも、きっと大丈夫だ。大丈夫」
……と。
また、三輪に連れられて東堂樹生の妻・亜希も面会に訪れました。置き手紙を残し、失踪した妻。吉乃が「彼女は自殺した」と確信したW不倫の相手です。
亜希は、三輪に連絡をし、姿を表す決意をしたようです。「今は広島で働いている。心春ちゃんに会うまでは、どうしても死ねなかった」とのこと。
東堂樹生は、亜希に「心春ちゃんとは会えたのか?」と訊ねると、亜希はうなずきながら泣き崩れました。
心春ちゃんは生きているのか? 亡くなったのか? その真相はわかりません。
ただ、誘拐から5年が経過しています。もし、心春ちゃんが見つかっていたのなら、亜希は言葉に出して伝えると思います。しかし、号泣してうなずくのみなのです。
おそらく、東堂心春ちゃんは、あの階段転落で亡くなっていたのです。
【考察】不倫は、夫婦も、子ども、周囲の人も、みんなの人生をぶち壊す
本サイトを運営する僕は、かつて妻に不倫をされた経験があります。
その経験から学んだことは「不倫とは、己の快楽を優先し、パートナーを騙し続け、尊厳を踏みにじる卑劣な違法行為だ」ということ。
W不倫へと踏み込んでしまった、神奈川県警の吉乃栄太郎、そしてその部下の妻・東堂亜希。
不倫を続けるためには、嘘に嘘を重ねる必要があります。お互いの配偶者だけでなく、不倫の当事者に対しても嘘は不可欠です。一般的な例として「妻とは上手くいっていない」「もうすぐ離婚をする」「いつか一緒になろう」など。
今回、吉乃栄太郎は、不倫相手の娘を殺害してしまいます。
不慮の事故とはいえ、不倫がバレたことに焦った吉乃が招いた過失致死です。
不倫者・吉乃栄太郎の極悪ポイントは以下の3つです。
- 不倫相手の子どもを殺害
- 不倫相手を自殺へと誘導
- 不倫相手の夫に罪を着させようとした
まさに己を優先した卑劣な行為です。完全に不倫が人を狂わせています。
一方、サレ夫となった東堂樹生は、救いようが無いほど不幸のどん底へと叩き落とされました。
- 妻に不倫をされる
- 妻が失踪する
- 娘が殺される
- 仕事を失う
- 娘の誘拐事件から5年間、毎日地獄の苦しみを味わう
- 結果、警察に逮捕され留置される(後に刑務所へ)
東堂樹生のその後については描かれていませんが、「心春ちゃんを見つけ出すため」「犯人を炙り出すため」とはいえ、自分自身も模倣犯として誘拐事件を起こしてしまいます。無罪になることはないでしょう。
せめて、情状酌量により刑期が短くなり、出所後の人生が明るく開てくることを願うばかりです。
不倫は雪だるま式に、嘘に嘘を重ね、どんどん人を不幸に巻き込んでいきます。すべては己の身勝手な性欲のために。改めて「不倫者は信用してはいけない」「不倫は卑劣な犯罪行為である」と認識させられました。
ただ、マイファミリーは、見る人によって色々な意見がありそうです。不倫をした側は、どういった感想を抱いたのでしょうか……。
家庭崩壊を再構築させた鳴沢家と三輪家
最後に、マイファミリーの主題歌をご紹介します。女性シンガーソングライター・Uru(ウル)が歌う『それを愛と呼ぶなら』。
冒頭の一節から、切なさが湧き起こってきます。
Uru「それを愛と呼ぶなら」歌詞より引用
東堂家は、不幸のどん底へと突き落とされました。
一方で、鳴沢家と三輪家は家庭を再構築させることができたのです。鳴沢家は家庭内別居状態で、三輪家に関しては離婚していました。今回の困難を乗り越える中で、夫婦として、親子として、関係を固く結び直すことができました。家族が同じ方向を向いて、再び歩み始めたのです。
全員がハッピーではないエンディング。
とにかく、すごく壮絶なドラマでした。脚本家の黒岩勉さん始め、番組制作に携わったすべての皆さんに感謝申し上げます。ありがとうございました。